スポーツするなら上半身と下半身、どちらを先に鍛えるべき?
「アスリートなら、まず脚を鍛えるべき」
そう思っていませんか?
走る、跳ぶ、投げる、切り返す。
スポーツでは下半身から大きな力を生み出すため、もちろん脚の筋力やパワーは非常に重要です。
では、上半身と下半身、どちらを先にトレーニングするべきなのでしょうか?
僕の答えは、
まずは「上半身」です。
どうも、Garage Gym HIKYOトレーナーの鈴木です!
今回は、なぜアスリートのトレーニングでは上半身のコントロールを先に考えるのか。
そして、そこから下半身のパワーをどう競技動作につなげていくのかを解説します。
目次
1.なぜ「上半身」が先なのか?
ここでいう「上半身を先に鍛える」とは、
ベンチプレスや腕立て伏せを先にやりましょう、という意味ではありません。
重要なのは、
胸郭や背骨を自分でコントロールできること。
例えば、
- 胸郭を回旋させる
- 体幹を側屈させる
- 身体を前後左右に傾ける
- 必要な姿勢を作る
- 肋骨と骨盤の位置関係をコントロールする
こうした能力です。
なぜこれが先なのか。
スポーツでは、ただ大きな力を出せばいいわけではないからです。
「どの方向に力を出すのか」
が非常に重要になります。
2.まずは身体の「形」と「方向」を作れるようにする
例えば、横方向へ素早く移動するとしましょう。
脚の力が強ければ、それだけで速く移動できるでしょうか?
実際にはそう単純ではありません。
まず、
体幹を進みたい方向へ傾ける。
そして、その身体の形に対して脚で地面に力を加えることで、身体を目的の方向へ加速させます。
つまり、
① 身体の形・方向を作る
↓
② その形に対して力を加える
↓
③ 目的の方向へ身体が加速する
という順番です。
いくら脚力が強くても、身体の向きや傾きをうまくコントロールできなければ、その力を目的の方向へ効率よく使えません。
だからこそ僕は、まず胸郭や背骨を動かし、
「身体をどのような形にするのか」をコントロールする能力
を大切にしています。
上半身を「強くする」のが先なのではありません。
上半身を「操作できるようにする」のが先。
ここが大きな違いです。
3.その後に下半身のパワーを高める
もちろん、上半身を動かせればそれで終わりではありません。
次に必要になるのが、
下半身から大きな力を生み出す能力です。
スポーツでは、
- スプリント
- ジャンプ
- 切り返し
- 投球
- スイング
など、さまざまな場面で下半身から大きな力を生み出します。
そのため、
スクワットやデッドリフト、スプリットスクワット、ジャンプなどによって、
筋力・パワー・RFD(力の立ち上がり)などを高めることも重要です。
しかし、ここでも一つ問題があります。
脚が強くなった=競技が上手くなる
ではありません。
4.筋力をつけるだけでは競技力にならない
例えば、スクワットが100kgから150kgになった。
これは素晴らしい身体能力の向上です。
しかし、実際のスポーツでは、
「今からスクワットと同じ姿勢で、真上に最大筋力を出してください」
という状況はほとんどありません。
相手が動く。
ボールが動く。
自分自身も動いている。
姿勢も毎回違う。
そして、その一瞬で適切な方向へ力を発揮しなければなりません。
そこで必要になるのが、
筋力・パワーを「競技で使える形」へつなげていくトレーニングです。
「強くする」と「使えるようにする」は違う
一般的な筋力トレーニングでは、
どれだけ大きな力を生み出せるか
という身体能力を高めます。
これはアスリートにとって非常に重要です。
しかし、その能力を実際のスポーツで使うには、
身体の向き、姿勢、タイミング、力を出す方向などを組み合わせる必要があります。
例えば、
下半身で生み出した力を、
脚 → 骨盤 → 体幹 → 胸郭 → 上肢
へ伝えていく。
投球、スイング、スパイクなどでは、こうした全身の連動が必要になります。
そのためHIKYOでは、単純な筋力トレーニングだけでなく、
「身体能力を競技動作につなげるためのトレーニング」
も重要だと考えています。
5.最終的には「目→脳→身体」までつなげる
さらに、実際のスポーツを考えると、その前段階があります。
そもそも、
「どちらに動くのか」
を何によって決めているのでしょうか?
例えばバスケットボールなら、
相手を見る。
動きを予測する。
右へ行くのか、左へ行くのかを判断する。
そして初めて身体が動きます。
つまり競技パフォーマンスを大きく分解すると、
① Perception ― 情報を捉える
↓
② Decision ― 判断する
↓
③ Orientation / Kinematics ― 身体の形・方向を作る
↓
④ Force / Kinetics ― 力を生み出し、地面へ加える
↓
⑤ Sport ― 競技の中で全てを統合する
という流れになります。
筋力トレーニングは、この中の一部分です。
だからHIKYOでは、
「スクワットを強くしましょう」
だけではなく、
目から情報を取り、身体をコントロールし、必要な力を生み出し、それを競技につながる動きへ変換する。
そこまでをトレーニングとして考えています。
HIKYOが担当するのは「競技につなげるための土台」
ただし、Garage Gym HIKYOですべてを完成させるわけではありません。
野球、バスケットボール、バレーボール、サッカーなど、それぞれの競技には、それぞれの技術があります。
最終的に、
見る→判断する→実際の競技技術として発揮する
ところまで完成させるのは、それぞれの競技練習です。
僕たちが担当するのは、その一歩手前。
「競技で使える身体能力を作るところまで」
です。
例えば、
身体を適切な方向へ傾けられる。
胸郭や骨盤をコントロールできる。
必要な筋力・パワーを発揮できる。
下半身で生み出した力を上半身へ伝えられる。
目から入った情報に対して身体を動かせる。
こうした能力を高めておけば、その先にある競技練習の質も変わってきます。
結論:上半身→下半身→そして「つなげる」
最初の質問に戻ります。
「アスリートは上半身と下半身、どちらを先にトレーニングするべき?」
僕の答えは、
まずは上半身です。
ただし、
上半身を先に「強くする」のではありません。
まず胸郭・背骨・体幹をコントロールし、
身体の形と方向を作れるようにする。
そこへ、
下半身の筋力・パワーを加える。
そして最後に、
その力を全身へつなげ、競技で使える動きへ近づけていく。
つまり、
上半身のコントロール
↓
下半身のパワー
↓
全身の連動
↓
競技へ
です。
筋力をつけることは大切です。
でも、
「強い身体」と「スポーツで使える身体」は、同じではありません。
Garage Gym HIKYOでは、一人ひとりの競技や身体の特徴を見ながら、
目・脳・身体をつなぎ、競技につながる身体能力を作ること
を大切にしています。
「トレーニングはしているけど、なかなか競技パフォーマンスにつながらない」
「もっと速く走りたい、跳びたい、強く投げたい」
そんな選手は、筋力だけではなく、
その力を“使える身体”になっているか?
一度見直してみてください。