スポーツスタミナ向上に必要なのは長距離走ではない?
「スタミナをつけたいなら長距離走をやれ!」
多くの部活やスポーツ現場で言われるこのフレーズ。ですが、最新のスポーツ科学では必ずしも正しいとは限りません。実際には、競技で必要とされる“スタミナ”は、ただ長く走れる力ではなく、試合やプレーの終盤でもパフォーマンスを落とさない力なのです。本記事では、競技別のエビデンスを紹介しながら「本当に必要なスタミナの正体」と「効果的な鍛え方」を解説します。
目次
1. スポーツスタミナとは何か
1-1 長距離走の“持久力”と競技スタミナの違い
「長距離を走れる=試合で最後まで走り切れる」と思われがちですが、これは誤解です。マラソンとサッカーでは必要な体力が違うように、スポーツごとに求められるスタミナは別物。
例えばサッカー選手は42km走る必要はありません。その代わり、90分間の中で瞬発的に何度もダッシュや切り返しを繰り返す力が必要です。
1-2 落ちないパフォーマンス=“筋持久力”の重要性
試合で本当に求められるのは「後半でもスプリント・ジャンプ・切り返しを維持できること」。つまり筋持久力=疲れにくい筋肉こそが競技スタミナの正体です。
特に大きな役割を果たすのが「ハムストリングス(太もも裏)」です。
2. スポーツスタミナとハムストリングスの関係
2-1 サッカー・ラグビーで起きるスプリント後半の失速
試合シミュレーション研究では、ハムの疲労がスプリント速度の低下と並行して進むことが報告されています【PMC】。つまり、走れなくなる原因は全身の体力ではなく局所的な筋肉疲労なのです。
2-2 過去のケガがリピートスプリントに影響する
さらにハムを一度痛めた選手は繰り返しスプリントの落ち幅が大きい傾向も示されています。これは、再発リスクだけでなく「試合後半の走りの質」にも直結します。
3. 陸上短距離・ジャンプ系スポーツにおけるスタミナ
3-1 反復ダッシュで崩れるフォームと走速度
短距離選手の全力ダッシュを繰り返す研究では、ハム疲労により股関節・膝の動作が崩れ、走速度が低下することが確認されています。
つまり「スピードが落ちない選手=ハムの筋量・筋持久力が高い選手」です。
3-2 着地・切り返し時の膝負担と疲労のつながり
バスケやバレーなどでは、ハムが疲れると膝の保護メカニズムが弱まり、ACLリスクや切り返しの質低下につながる。これは怪我予防だけでなく、試合終盤の敏捷性にも直結します。
4. スポーツ現場での実践トレーニング
4-1 ノルディックハム・片脚カールの効果
研究では**ノルディックハムストリング(離心トレーニング)**が、スプリント能力そのものと疲労耐性を改善する効果を示しています。
また、片脚スライドカールやロングレバーブリッジは高回数や長時間保持で筋持久力を鍛えられます。
4-2 長尺イソメトリックと“落ちにくさ”の鍛え方
30〜60秒保持のロングイソメは、フォーム維持や疲労抵抗性を高めるのに有効です。単なる筋力アップではなく、試合終盤の落ち幅を減らすトレーニングとしておすすめです。
5. スポーツスタミナを伸ばすための考え方
5-1 「走り込み=スタミナアップ」の誤解を解く
「毎日長距離を走ればスタミナがつく」という発想は、現代のスポーツ科学では時代遅れ。大切なのは、競技で使う動きに特異的なスタミナを鍛えることです。
5-2 ガレージジムHIKYOで学べる本当のパフォーマンス向上
ガレージジムHIKYOでは、「練習量を増やす」ではなく、体×脳×感覚を結びつけてパフォーマンスを上げる方法をお伝えしています。
まとめ
- スポーツに必要なスタミナは「長距離を走れる力」ではなく、後半でも落ちない筋持久力。
- 特にハムストリングスの疲労耐性は、スプリント維持・敏捷性・怪我予防に直結する。
- ノルディックや片脚トレで鍛えると、試合終盤のパフォーマンス維持に効果がある。
- 「走り込み神話」を超えて、科学的なスタミナ強化を取り入れよう。